口臭が気になるのはマスクのせい?それともお口のトラブル?原因と正しいケア方法|もりわき歯科|芦屋駅すぐの歯科・歯医者

 インスタロゴ
ヘッダー画像

医療コラム

口臭が気になるのはマスクのせい?それともお口のトラブル?原因と正しいケア方法|もりわき歯科|芦屋駅すぐの歯科・歯医者

口臭が気になるのはマスクのせい?それともお口のトラブル?原因と正しいケア方法

 

1. はじめに:マスク生活で気づいた「自分の口のにおい」

コロナ禍以降、マスクを着ける生活が長く続きました。その中で「自分の口のにおいが気になるようになった」という方は少なくありません。
「マスクの中にこもる息のにおい=口臭」と感じてしまう方もいますが、実際には、マスクが“においを増やした”のではなく、“自分の口の状態に気づきやすくなった”可能性が高いのです。

民間調査では、日本人の約7割が「自分の口臭を気にしている」と答えています。しかし、その多くは「どこから来るにおいなのか」「どう対処すればよいのか」を正しく理解していません。
この記事では、口臭の主な原因と、その中でも特に重要な“歯周病治療による根本的なケア”について詳しく解説します。

2. 日本人は「息がくさい」と思われている?世界から見た日本の口腔事情

日本人の清潔意識は世界的にも高いといわれますが、こと「お口のケア」に関しては、残念ながら欧米諸国に後れを取っています。
2019年に行われた日本在住の欧米人へのアンケートでは、約70%が「日本人の口臭を気にしたことがある」と回答しています。特に、電車やビジネスシーンなど“距離の近い場面”で気になるという声が多く寄せられました。

この背景には、文化や意識の違いがあります。欧米では、歯科定期検診や矯正治療は「エチケット」や「社会的マナー」として定着しています。
一方で日本では、「痛くなったら歯医者に行く」という受け身の姿勢が今も根強く、歯石や歯周病を放置している人が少なくありません。

スウェーデンでは高齢者でも平均して25本以上の歯が残っているのに対し、日本では20本を下回るというデータもあります。
またアメリカでは、歯並びの悪さは“貧困の象徴”と見なされるほどで、矯正治療は「豊かな人生を送るための自己投資」と考えられています。
こうした文化の違いが、「日本人=口が汚い、息がくさい」という印象につながっているのです。

3. 口臭の原因:9割はお口の中、1割は全身の病気

口臭の原因の約9割は、むし歯や歯周病、舌苔(ぜったい)など「お口の中の細菌」が作り出すガスです。
これらの細菌は、タンパク質を分解する際に「硫化水素」や「メチルメルカプタン」といった揮発性硫黄化合物を発生させ、独特の臭気を生じさせます。

一方、残りの1割は、糖尿病・肝疾患・副鼻腔炎・消化器疾患など、全身の病気が関係しているケースです。特に、口腔由来の原因が少ないのに強い口臭がある場合には、内科的な検査も必要となることがあります。

また、誰にでも起こる「生理的口臭」も存在します。
朝起きた直後や空腹時、緊張時などに唾液の分泌が減ることで、一時的に口の中の細菌が増え、においが強まることがあります。これは一過性のもので、歯磨きや食事で改善する自然な現象です。
ただし、歯周病や舌苔があると、この生理的口臭がより強く、持続的に感じられるようになります。

4. 歯周病こそ、最も合理的な口臭治療のカギ

日本人の約8割が歯周病にかかっているといわれています。歯周病は、歯ぐきの奥にプラーク(細菌の塊)が溜まり、炎症を起こす病気です。
このプラークや歯石の中には、嫌気性菌と呼ばれる“酸素を嫌う菌”が多く存在し、これらが強い臭気物質を発生させます。

歯周病の初期段階では自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行していることも少なくありません。
そのため、「どこが悪いかわからないけれど、なんとなく口臭が気になる」という場合でも、歯周病の可能性を前提に治療を進めるのが最も合理的です。

歯周病治療は、単に“においを消す”だけでなく、“口臭の発生源を断つ”根本治療です。
歯石やプラークを除去し、歯ぐきを引き締めることで細菌が繁殖しにくい環境をつくります。
治療の流れは、歯周検査→スケーリング・ルートプレーニング(歯石除去)→セルフケア指導→再評価というステップを踏みます。

また、治療後も定期的なメインテナンスを続けることで、再びにおいが強まることを防ぎ、清潔で健康的なお口を保つことができます。

5. 自宅でできる正しい口臭ケア

口臭を改善するためには、日々のセルフケアも欠かせません。
マウスウォッシュやガムで一時的にごまかすだけでは根本的な解決にはなりません。

1. 歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用すること。

歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは60%程度しか落とせません。歯周病菌はそうした隙間に潜み、においの原因となります。

2. 舌のケアを適度に行うこと。

舌苔は口臭の大きな原因のひとつですが、過度なブラッシングは舌を傷つけるため、専用の舌ブラシで軽く1〜2回なでる程度で十分です。

3. 唾液を増やす工夫をすること。

唾液には細菌の活動を抑える働きがあります。よく噛んで食べる、こまめに水分補給する、ガムを噛む、鼻呼吸を意識することで唾液の分泌を促せます。

4. 生活習慣を整えること。

睡眠不足、喫煙、ストレス、偏食は口臭を悪化させます。禁煙とバランスの取れた食生活が、においの改善にも直結します。

6. 歯科医院で行う専門的な口臭ケア

お家でのセルフケアがうまくいっているかどうか、ご自身で判断することは難しいものです。私たち歯科医療者も含め、原因となる細菌は目に見えないからです。

プラークがたまっていると白色〜黄色の塊に見えますが、そのような大きな塊になっていなくとも、プラークは歯の表面に付着しています。なので、歯科医院で行われる、染め出しと呼ばれる特殊な方法を使って、菌の「見える化」をしましょう。

菌がどれくらい付いているのか、どのくらい長く菌が定着していたのか、どこに菌が多いのか、など、お家でのセルフケアを効果的にするための情報をたくさん得ることができるのです。

また、自宅でのケアだけでは落としきれない歯石や細菌の膜(=バイオフィルム)は、歯科医院で専門的に取り除く必要があります。
歯石除去やクリーニングを行うことで、細菌の温床を根本からリセットすることができます。

そして、歯周病治療を継続的に行うことで、口の中の細菌バランスが整い、においの発生を抑えることができます。
もし歯並びが悪ければ、矯正治療によって整えることで、見た目の美しさだけでなく、清掃性の向上にもつながります。歯が磨きやすくなれば、歯垢や舌苔の蓄積も減り、結果的に口臭の予防にも効果的です。

7. まとめ:マスクは「お口の健康に気づくチャンス」だった

マスク生活によって自分の口臭に気づいたことは、決して悪いことではありません。
それは、「お口の健康状態を見直すチャンス」でもあります。

口臭の多くはお口の中の細菌が原因であり、歯周病治療や正しいケアで確実に改善できます。
一時的ににおいを抑えるのではなく、根本から改善することが、清潔で健康的なお口、そして自信のある笑顔への第一歩です。


 矢印のアイコン