歯ぐきからの出血を放置していませんか?“痛くない歯周病”の落とし穴
- 2026年1月11日
- むし歯・歯周病

目次
歯ぐきからの出血を「様子見」していませんか?
歯磨きをしたときに、歯ぐきから少し血が出る。
このような経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。
「強く磨きすぎたかな」
「たまにだから大丈夫」
「痛くないし、様子を見よう」
こうした考えから、歯ぐきの出血を放置してしまう方は少なくありません。しかし、歯ぐきからの出血は、体が発している“異常のサイン”です。決して軽く考えてよいものではありません。
歯周病は、痛みがほとんどないまま進行する病気です。そのため、出血というサインを見逃してしまうと、気づいたときには取り返しのつかない状態になっていることもあります。
たった1か所の出血でも歯周病と考えるべき理由
「全部の歯が出血しているわけではない」
「1本だけだから問題ない」
このように考える方も多いですが、1か所でも出血があれば、それは“病気が始まっている状態”と考えるべきです。
歯は親知らずを除くと28本あります。28本もある中で、1本くらい調子が悪くても仕方がない、と感じてしまうのは自然な心理かもしれません。しかし、歯ぐきの出血は「本数の問題」ではありません。
出血がある=炎症が起きている=歯周病菌が活動している
この事実を、まず正しく理解することが重要です。
28本あるから大丈夫?──指の出血に置き換えて考えてみる
少し視点を変えて考えてみましょう。
人の手足の指は合計20本あります。
もしそのうちの1本、人差し指から毎日出血し続けていたらどうでしょうか。
「1本くらい大丈夫だから放置しよう」
「痛くないから様子を見よう」
このように考える方は、ほとんどいないはずです。
むしろ、「何かおかしい」「早く治療しないと大変なことになる」と感じるのではないでしょうか。
実際、出血を放置すれば感染が広がり、最悪の場合、その指を失う可能性すらあります。
歯も同じです。
毎日出血しているということは、歯ぐきの中で感染が続いている状態です。
ただ「見えにくい」「痛くない」という理由だけで、歯だけが特別扱いされてしまっているのです。

痛くないのに進行する歯周病の正体
歯周病が怖い理由のひとつは、ほとんど痛みを感じないまま進行することです。
むし歯は、ある程度進行するとしみたり、ズキズキと痛みが出たりします。しかし歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきが静かに、気づかれないまま破壊されていく病気です。
そのため、
・痛くなったときには、すでに重症
・歯がグラグラして初めて異変に気づく
・最終的には抜歯しか選択肢がない
というケースも珍しくありません。
歯ぐきからの出血は、歯周病がまだ“引き返せる段階”で出してくれている貴重なサインなのです。
歯周病菌はなぜ出血を好むのか
歯周病菌の多くは、血液中に含まれる鉄分を栄養源として増殖します。
つまり、歯ぐきから出血が起こると、歯周病菌にとっては「ごちそう」が供給される状態になります。
・歯周病菌が増える
・歯ぐきに炎症が起こる
・出血が起こる
・血液を栄養にさらに歯周病菌が増える
このように、出血は歯周病菌にとって極めて有利な環境を作り出してしまうのです。
出血が出血を呼ぶ「歯周病の悪循環」とは
歯周病は、自然に治る病気ではありません。
むしろ、放置すればするほど菌に有利な環境がどんどん完成していく病気です。
・出血が続く
・歯周病菌が優勢になる
・免疫が追いつかなくなる
・炎症が慢性化する

この悪循環に一度はまってしまうと、歯磨きだけで元の健康な状態に戻すことは非常に困難です。
「ちゃんと歯磨きしているのに血が止まらない」
という方は、すでにこの悪循環に入っている可能性があります。
免疫だけでは勝てない理由と、現実的な解決策
「体の免疫があるから大丈夫」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯周病菌が大量に増えた状態では、免疫だけで抑え込むのは現実的ではありません。
免疫が頑張れば頑張るほど、炎症反応が続き、歯ぐきや骨はさらにダメージを受けてしまいます。
そこで重要になるのが、
歯周病菌の数を、免疫が勝てるレベルまで物理的に減らすことです。
歯周病治療で最も重要な「菌を物理的に減らす」という考え方
歯周病治療の本質は、消毒や薬ではありません。
歯ぐきの中にこびりついたプラークや歯石を、確実に取り除くことです。
これは、歯科医院でしか行えない専門的な処置です。
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歯ぐきの中の見えない汚れを除去する
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歯周ポケット内の菌を減らす
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免疫が機能できる環境を整える
この「物理的除去」を行って初めて、体の防御力が正常に働き始め、出血や炎症が改善していきます。
出血を止め、再発させないために必要な通院とセルフケア
治療で一度きれいにしても、その後のケアが不十分であれば、歯周病は再発します。
・正しい歯磨き方法
・歯間ブラシやフロスの使用
・定期的な歯科医院でのメインテナンス
これらを組み合わせて初めて、歯ぐきの健康は長く維持できます。
出血が止まることはゴールではありません。
出血しない状態を“当たり前”として維持することが本当の目的です。
まとめ:歯ぐきの出血は体からの警告サイン
歯ぐきからの出血は、
「そのうち治るもの」でも
「年齢のせい」でもありません。
それは、歯を失うリスクが始まっていることを知らせる警告サインです。
1か所の出血を軽く考えず、早い段階で正しく向き合うこと。
それが、将来も自分の歯で食事を楽しむための、最も確実な選択です。
