むし歯・歯周病を予防する白い被せ物とは?
- 2022年5月25日
- むし歯・歯周病
むし歯・歯周病を予防する「ジルコニアクラウン」
「むし歯の治療をして詰め物・被せ物を入れたけど、また同じ歯がむし歯になってしまった」。そんな経験はありませんか?
せっかくむし歯を治療するなら、むし歯が再発せずに、ずっと白いままでいたいですよね?
あるいは、「銀歯がカッコ悪いから、白い歯にやりかえたい…」そう悩んでいる方もおられると思います。
今回は、むし歯・歯周病のリスクが低くて長持ちする白い被せ物、『ジルコニアクラウン』について解説します。
Index
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むし歯・歯周病になりにくい白い被せ物
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セラミッククラウンとの違いは?
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さらに低リスクに! 当院ならではの治療法
1. むし歯・歯周病になりにくい白い被せ物
ジルコニアクラウンは、虫歯などで大きく歯が欠けた場合や、見た目の改善の治療に使用される被せ物です。被せ物は、その中がむし歯になっていても分かりにくいのが弱点。痛みが出始めた頃にはすでにむし歯が大きくなっていることも。発見が遅れると、歯の神経を抜いたり、最悪の場合は抜歯に至ります。そのような事態を避けるためには、歯の表面についているむし歯菌を減らす必要があります。
むし歯菌を減らすには、フロスや歯間ブラシ、歯ブラシでのセルフケアが最も大事です。しかしもう1つ、「被せ物自体を菌が付きにくい材料にする」というアプローチもあります。白い被せ物・詰め物の材料には、合成樹脂、セラミック、ジルコニアなどがありますが、どれが菌を最も寄せ付けにくいのでしょうか。
この疑問を調べたのは、日本大学・神奈川歯科大学らの研究グループ。この研究によると、きちんと研磨された各材料の表面から菌を採取して繁殖させた結果、最も菌が少なかったのは『ジルコニア』であったと報告しています。驚くことに、天然の歯よりも菌が少なかったのです。
ジルコニアクラウンは自費治療で選べる白い被せ物として、従来から使用されていました。この研究により、さらに「菌がつきにくい」という特徴が科学的に明らかになったのです。一方、保険治療で使用される合成樹脂の被せ物は費用が抑えられるのがメリットですが、天然の歯よりずっと多く菌が付いてしまうことも示されました。
2. セラミッククラウンとの違いは?
ジルコニアクラウンと同様、セラミッククラウンも自費治療で選ぶことができる白い被せ物です。ジルコニアよりも透明度が高いため、主に審美性が強く求められるケースで多く使用されます。例えば前歯で1本だけ被せ物にするような場合は、隣の歯と近い質感・色にしないといけません。そのようなケースでは、当院でもセラミッククラウンをおすすめします。一方で、強度はジルコニアより劣り、奥歯やブリッジなどでは不向きとされています。
最近は材料の進歩もあり、ジルコニアの透明度が上がったため、審美的なケースでもジルコニアクラウンで対応できるようになってきました。前述の菌の付きにくさも考慮し、当院ではジルコニアクラウンを第一選択としてご提案しております。
また、価格については、一般的にジルコニアクラウンの方がセラミッククラウンよりも安価に設定されることが多いです。お財布にも優しいですね。
3. さらにむし歯・歯周病になりにくく! 当院ならではの治療法
当院は、「予防のための歯医者さん」として、治療においてもむし歯・歯周病予防を重視しています。ここでは、ジルコニアクラウンの治療での予防のコツ3点をご紹介します。
① 治療の前に菌を減らす
日本の多くの歯医者さんでは、むし歯を見つけたらすぐ削って被せ物を入れ、その後に「メインテナンスにお越しください」と案内しがち。これは一昔前、むし歯の洪水時代では普通のことでした。しかし、むし歯の予防法が確立した現代は違います。例えばスウェーデンでは、むし歯菌をあらかじめ減らしてから、むし歯治療を行います。なぜなら、菌の多い状態でのむし歯治療は、精度が悪くなるからです。菌が多い人の歯肉は腫れていて、治療中に容易に出血します。すると、被せ物の型取りの時に血液が邪魔をして、精度の悪い被せ物ができてしまいます。加えて、患者さんは菌を減らすセルフケアのスキルも身につけていないため、またむし歯を繰り返してしまうのです。
このようなことから、当院では応急処置が必要でない場合には、菌を減らすセルフケアのスキルを身につけてもらってからむし歯治療を行います。「早く治療してよ」と思われるかもしれませんが、急がば回れです。まずはむし歯そのものの原因を消しておくことが、低リスクで長持ちする被せ物の秘訣です。
② 被せ物と歯の境目を、歯肉よりもわずかに上に設定する。
被せ物のデザインも、むし歯・歯周病予防にとって重要です。被せ物と歯の境目は、菌が最初に入り込むところ。ここを歯肉よりもわずかに上に設定すると、歯間ブラシや歯ブラシを当てることができ、菌が入り込むチャンスを減らせます。結果、むし歯・歯周病になりにくくなるのです。繊細な作業を要するため、当院では高倍率の歯科用ルーペを用いて治療に当たっています。
③ カメラでスキャンする!次世代の型取り
症例にもよりますが、当院ではなるべくスキャナーでの歯の型取りを優先して行います。従来はピンク色の粘土のような型取りしかありませんでした。粘土での型取りには7、8分かかり、患者さんに我慢を強いる、負担の大きい方法でした。また、型取りやその後の石膏模型の作製時などに、技術的なエラーを起こしやすいという欠点がありました。
そこで当院では、お口の中に入れるカメラで歯をスキャンする、『セレック』という機械を導入しています。エラーが少なく、また患者さんの負担も小さいことがメリットです。被せ物はデジタルデータをもとに設計し、機械で削り出されます。そのため人の手に触れる回数も少なく、感染リスクもさげることができるのです。
以上、低リスクで長持ちする白い被せ物『ジルコニアクラウン』と、さらに予防の技術を組み合わせたもりわき歯科独自の取り組みについてご紹介しました。
ずっと白い歯でいられれば、口元に自信がつきますよ。お友達との食事会も、楽しく過ごせそうですね。
むし歯治療や被せ物のやりかえを検討されている方は、当院予約サイト(こちらをクリック)でご予約ください。
引用:
- Ayako Teranaka, Kiyoshi Tomiyama, Katsura Ohashi, Kaori Miyake, Tota Shimizu, Nobushiro Hamada, Yoshiharu Mukai,Satoshi Hirayama, and Tomotaro Nihei. Relevance of surface characteristics in the adhesiveness of polymicrobial biofilms to crown restoration materials. Journal of Oral Science, Vol. 60, No. 1, 129-136, 2018.