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医療コラム

マウスウォッシュは本当に必要?歯磨きとの正しい使い分け|もりわき歯科|芦屋駅すぐの歯科・歯医者

マウスウォッシュは本当に必要?歯磨きとの正しい使い分け

ドラッグストアに行くと、さまざまな種類のマウスウォッシュが並んでいます。「殺菌」「歯周病予防」「むし歯予防」「口臭対策」など、魅力的な言葉が並び、「歯磨きにプラスして使った方がよさそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には、マウスウォッシュの役割を正しく理解せずに使うと、期待した効果が得られないばかりか、むし歯リスクを高めてしまうこともあります。

このコラムでは、歯科医師の立場から、マウスウォッシュと歯磨きの正しい使い分けについて解説します。


マウスウォッシュはなぜ「必要そう」に見えるのか

マウスウォッシュが広く使われるようになった背景には、「手軽さ」と「即効性」のイメージがあります。

口をゆすぐだけで口の中がスッキリし、「菌が減った気がする」「清潔になった気がする」と感じやすいのです。

しかし、スッキリ感=歯がきれいになった、ではありません。

歯科医療の観点では、感覚的な爽快感と、実際の予防効果は分けて考える必要があります。


マウスウォッシュの正体:バイオフィルムには効かない理由

むし歯や歯周病の原因となる細菌は、歯の表面にバイオフィルム(細菌のかたまり)を作って存在しています。

このバイオフィルムは非常に強固で、うがいだけでは除去できません。

マウスウォッシュは液体である以上、歯の表面にこびりついたバイオフィルムを物理的に剥がすことはできません。

つまり、歯ブラシやフロスによる物理的清掃を行わなければ、マウスウォッシュの効果はほとんど発揮されないのです。


「殺菌」をうたう製品はどこまで信頼できるのか

多くのマウスウォッシュ製品は「殺菌効果」をアピールしています。

ただし、その根拠となる実験の多くは、実験室内で菌だけを取り出し、直接マウスウォッシュをかけた条件で行われています。

これは、実際の口腔内とは大きく異なる環境です。

口の中では、細菌はバイオフィルムに守られ、唾液や歯の形態など複雑な条件下にあります。そのため、実験室で示された殺菌効果が、そのまま口腔内で再現されるとは限りません。


科学的に“効くマウスウォッシュ”を選ぶことが難しい理由

マウスウォッシュ製品は、毎年のように改良版や新製品が発売されます。

販売戦略上、「より効果がありそう」に見える表現が増えていきますが、すべての製品について十分な科学的検証が行われているわけではありません。

一般の方が、それぞれの製品の科学的裏付けを一つひとつ確認するのは、現実的にほぼ不可能です。

そのため、「科学的に最も効果のあるマウスウォッシュを選ぼう」と考えること自体が、実はとても難しいのです。


むし歯予防の基本はフッ化物配合歯磨剤である

むし歯予防において、最も科学的根拠が確立しているのはフッ化物配合歯磨剤の使用です。

フッ化物は歯の再石灰化を促し、歯質を強化する働きがあります。

ここで重要なのは、歯磨き後にフッ化物を口の中に残すことです。

歯磨き後に大量の水やマウスウォッシュでしっかりすすいでしまうと、フッ化物が洗い流され、むし歯予防効果が弱くなります。


マウスウォッシュを使うなら量とタイミングが重要

それでもマウスウォッシュを使いたい場合は、使用量とタイミングが非常に重要です。

歯磨き後に使う場合は、10〜15ml程度の少量にとどめることをおすすめします。

「たくさん使えば効果が高い」という考えは誤りです。

フッ化物をできるだけ口腔内に残すことを優先するなら、軽くゆすぐ程度にする必要があります。


フッ化物洗口液が必要な人が注意すべき使い分け

むし歯リスクが高い方や、子どもなどでフッ化物洗口液が必要な場合、マウスウォッシュとの併用には注意が必要です。

フッ化物洗口液とマウスウォッシュを同時に使うと、せっかくのフッ化物が流れてしまいます。

そのため、むし歯リスクが高いけれどマウスウォッシュも使いたい方には、

「夜はフッ化物洗口液、朝はマウスウォッシュ」という使い分けをおすすめしています。

むし歯リスクが高いのか、歯周病リスクが高いのかわからないという方は、担当の歯科衛生士に聞いてみましょう。


歯周病予防で本当に優先すべきセルフケア

「歯周病予防のためにマウスウォッシュを使っている」という方も多いですが、

歯周病予防で最も効果的なのは、フロスや歯間ブラシによる清掃です。

歯周病は、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目に汚れが残ることで進行します。

これらの部位は、マウスウォッシュではほとんど清掃できません。

歯周病対策としてのマウスウォッシュの優先度は、決して高くないことを理解しておく必要があります。

(当院では、フロスや歯間ブラシの選び方/使い方を、担当の歯科衛生士があなたの歯やリスクに合わせてご提案しています。)


口臭対策としてのマウスウォッシュの正しい位置づけ

マウスウォッシュが比較的役立つ場面が、口臭対策です。

特に、生理的口臭が最も強く出やすいのは起床直後の朝です。

朝の歯磨き後にマウスウォッシュを使用することで、一時的に口臭を抑える効果は期待できます。

ただし、口臭の原因が歯周病やむし歯である場合は、マウスウォッシュだけで解決することはありません。


まとめ:マウスウォッシュは「目的限定の補助」として使う

マウスウォッシュは、決して万能なものではありません。

歯磨きやフロスの代わりになるものでもなく、あくまで補助的なケア用品です。

・むし歯予防の基本はフッ化物配合歯磨剤

・歯周病予防の基本は歯ブラシ+フロス or 歯間ブラシ

・マウスウォッシュは目的と使い方を限定して使用する

この優先順位を理解したうえで使うことが大切です。

正しい知識をもとに、ご自身に合ったセルフケアを選んでいきましょう。


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