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医療コラム

歯のクリーニングで、むし歯や歯周病は予防できるの?|もりわき歯科|芦屋駅すぐの歯科・歯医者

歯のクリーニングで、むし歯や歯周病は予防できるの?

結論:クリーニングでは不十分。効果的なのは「メインテナンス」です。


日本の「予防歯科」は、本当に予防できている?

日本の多くの歯科医院では、「予防歯科=歯のクリーニング」とされています。

この“クリーニング”とは、以下のような内容です:

  • 一律の歯磨き指導

  • 歯石除去(スケーリング)

  • 歯の表面の研磨(PMTC)

これらは“プロフェッショナルケア”と呼ばれますが、クリーニング直後にむし歯菌や歯周病菌は一時的に減少しても、わずか1〜2時間後には再び増殖を始め、24〜48時間以内に元の数に戻ってしまうとされています。

つまり、クリーニングの効果はわずか2日間しか続かないのです。

ところが、多くの歯科医院ではこのクリーニングを「3ヶ月(90日)ごと」に実施しています。

そうすると、残りの88日間は菌が増え放題の状態ということに。

その結果、定期的にクリーニングに通っていても、

・新たなむし歯ができる

・歯周病が進行し、歯ぐきが下がる

といったことが起きてしまうのです。


スウェーデン式の「メインテナンス」でむし歯が激減

むし歯や歯周病の予防において、世界的に成果を上げているのが「北欧型メインテナンス」です。

スウェーデンをはじめとする北欧諸国の歯科医院では、次のようなステップでメインテナンスを行います:

・歯周病の精密検査

・プラークの染め出し

・リスクに応じたセルフケアの強化(オーダーメイドの歯磨き指導)

・歯石除去・PMTC

フッ素塗布

これにより、一人ひとりのリスクに応じた個別対応が可能になります。

たとえば、歯科衛生士が次のようなアドバイスをしてくれます:

「右上の奥歯に細菌が多く、歯ぐきから出血があります。中等度の歯周病が進行している状態です。ここにはSサイズの歯間ブラシが適しています。まず1ヶ月試して、改善をチェックしましょう。」

このように、「検査 → 分析 → 対処法の提案 → 経過観察」を繰り返すのが、北欧型のメインテナンスです。


日本型クリーニングと北欧型メインテナンスの違い

以下のグラフをご覧ください:

5年間でできたむし歯の数:日本型では平均4.4本、北欧型では0.2本

このように、北欧型メインテナンスを導入した医院では、むし歯がほとんどできていないという報告があります(Axelsson P et al., 2004, Rosen B et al., 2004)。


まとめ|「クリーニング」ではなく「メインテナンス」へ

「定期的に通っているのに、なぜか新しいむし歯ができてしまう」

「歯周病が進行して、歯ぐきが下がってきた」

そんな方は、クリーニング中心の予防スタイルに限界があるのかもしれません。

これからは、「本当に予防できる方法=メインテナンス」を取り入れている歯科医院を選ぶことが、健康な歯を守るための第一歩です。


引用文献

  1. Axelsson P, Nyström B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. J Clin Periodontol. 2004; 31(9): 749–757.

  2. Rosen B et al. Effect of different frequencies of preventive maintenance treatment on dental caries: five-years observations in general dentistry patients. Acta Odontol Scand. 2004; 62: 282–288.

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