歯を失う原因ランキング。実は“むし歯”より多い意外な理由とは?
- 2026年2月1日
- 予防・メインテナンス
なぜ「歯を失う原因」を知ることが重要なのか
「歯が痛くなったら歯医者に行けばいい」
多くの方が、無意識のうちにそう考えているのではないでしょうか。
しかし、歯は一度失ってしまうと、二度と元の自分の歯には戻りません。
入れ歯やインプラントといった治療法はありますが、それはあくまで失った歯の代替手段であり、「元に戻す治療」ではありません。
実は、歯を失う原因の多くは突然起こるものではなく、長年の積み重ねによって生じます。
つまり、「なぜ歯を失うのか」を早い段階で知っていれば、防げるケースが非常に多いのです。
まずは、日本人が実際にどのような理由で歯を失っているのかを見ていきましょう。
【第1位】歯を失う最大の原因は「歯周病」

多くの方が意外に思われるかもしれませんが、日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病です。
歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨が、細菌によってじわじわと破壊されていく病気です。
最大の特徴は、ほとんど痛みがないまま進行すること。
・歯ぐきが少し腫れている
・歯みがきのときに血が出る
・口臭が気になる
こうしたサインがあっても、「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごされがちです。
しかし実際には、歯を支える骨は確実に減っていき、ある日突然「抜歯が必要です」と告げられることも少なくありません。
歯周病は、進行してから治す病気ではなく、進行させないよう管理する病気です。
この認識の差が、歯の寿命を大きく左右します。
【第2位】実は身近で怖い「むし歯」による歯の喪失
「歯を失う原因=むし歯」と思っている方も多いでしょう。
確かにむし歯は非常に身近な病気ですが、実はむし歯そのものですぐに歯を失うケースは多くありません。
問題は、むし歯治療を繰り返すことによる歯の寿命の短縮です。
小さなむし歯を削る
↓
詰め物をする
↓
再びむし歯になる
↓
さらに大きく削って被せ物にする
このサイクルを繰り返すほど、歯はどんどん弱くなっていきます。
最終的には歯が割れたり、残せる部分がなくなったりして、抜歯に至るのです。
むし歯は「治したら終わり」の病気ではありません。
再発させない管理ができるかどうかが、歯を守れるかどうかの分かれ道になります。
【第3位】歯ぎしり・食いしばりが歯を壊すメカニズム
歯を失う原因は、細菌だけではありません。
歯ぎしりや食いしばりといった過剰な力も、歯に大きなダメージを与えます。
無意識の歯ぎしりでは、体重以上の力が歯にかかることもあると言われています。
この力が毎日続くことで、
・詰め物/被せ物が壊れる
・歯にヒビが入る
・歯周病が悪化する
といった問題が起こります。
むし歯も歯周病もないのに歯を失う方の背景には、こうした力の問題が隠れていることも少なくありません。
【第4位】歯の根が割れる「歯根破折」という見逃されがちな原因
歯の神経を取った歯は、栄養供給が断たれるため、どうしてももろくなります。
そこに歯ぎしりや強い噛みしめが加わると、歯の根が縦に割れてしまうことがあります。
これを歯根破折といいます。

歯根破折は、レントゲンでも分かりにくく、症状も曖昧なため、
気づいたときには「残せません」と判断されることが多いのが現実です。
近年、「できるだけ神経を残す治療」が重視されているのは、
こうした将来的なリスクを少しでも減らすためでもあります。
【第5位】事故や転倒による外傷で歯を失うケース
転倒やスポーツ、交通事故などによる外傷も、歯を失う原因の一つです。
特に前歯は衝撃を受けやすく、子どもから大人まで注意が必要です。
スポーツをされる方の場合、マウスガードを使用することで防げるケースも多くあります。
「予測できないから仕方ない」と思われがちですが、備えによって守れる歯もあるのです。
日本人と欧米人で「歯を失う原因」に違いはあるのか
日本と欧米では、歯を失う本数に大きな差があります。
その背景にあるのが、歯科医療に対する考え方の違いです。
日本では「悪くなったら治す」治療中心の受診が主流。
一方、欧米では「悪くならないように管理する」予防中心の考え方が根付いています。
その結果、歯周病で歯を失う人の割合も、大きく変わってきます。
なぜ日本では歯周病で歯を失いやすいのか
日本では、「定期的に歯医者に行っている=歯周病は大丈夫」と思われがちです。
しかし実際には、
・検査をほとんどせず
・クリーニングだけを受け
・状態を数値で把握していない
というケースも少なくありません。
当院に来院された患者さんに、「前の歯医者さんでは、歯周病の状態について説明を受けましたか?」と尋ねると、「聞いていない」「大丈夫と言われた」のどちらかが返ってくることがほとんどです。そして9割以上の患者さんは大丈夫ではないというのが現実です。
歯周病は、評価と管理がなければ防げない病気です。
どの歯科医院で、どのような管理を受けているかが、将来を左右します。
歯を失わない人が実践している共通習慣
歯を長く保っている人には、いくつかの共通点があります。
・痛みがなくても定期的に通院している
・自分の口の状態を理解している
・歯科を「特別な場所」ではなく生活の一部として捉えている
歯を守る人ほど、歯科医院との付き合い方が上手なのです。
今日からできる「歯を失わないための予防戦略」
歯を守るために必要なのは、高度な治療ではありません。
正しい管理を、継続することです。
・リスクに応じた定期メインテナンス
・生活習慣や噛み合わせへの配慮
・早期発見/早期対応
これらを積み重ねることで、歯の寿命は確実に延びます。
まとめ:歯の寿命は“治療”ではなく“管理”で決まる
歯を失う原因は、ある日突然現れるものではありません。
気づかないうちに進み、ある日結果として表に出てきます。
だからこそ、
「失ってから考える」のではなく、「失わないために管理する」
この考え方が、歯の寿命を大きく左右します。
あなたの歯は、これからの人生を支える大切なパートナーです。
ぜひ、今日から歯との付き合い方を見直してみてください。
監修者
監修:もりわき歯科 院長 森脇 一都
予防歯科を軸に、むし歯・歯周病を「治す」だけでなく「防ぐ」ことを重視した診療を行っている。患者さん一人ひとりの将来を見据えた長期的な口腔管理を大切にしている。

